真砂沢ロッジ~仙人池~阿曽原・欅平
真砂沢ロッジから阿曽原温泉までは約10時間、トロッコ電車の終点、欅平まではさらに約6時間の歩行となります。健脚向きのコースですが、裏剱の日本離れした景色を堪能できる大変充実したコースです。 近年、国内初の発見となり、極東地域で最も南の地域にある「氷河」と認定された三の窓雪渓、小窓雪渓を間近に望むことができるコースでもあります。仙人池や池の平から望む、氷河を従え、針峰を連ねる剱岳の姿は、ヨーロッパアルプスにも劣りません。
【参考行動時間】
真砂沢ロッジ-(1:30)-剱沢二股-(2:50)-仙人池ヒュッテ
仙人池ヒュッテ-(2:00)-剱沢二股-(1:50)-真砂沢ロッジ
真砂沢ロッジから仙人池方面へ向かう場合でご紹介します。ただ、実地調査が間に合わず、現段階では仙人池までのご案内です。仙人池から先、阿曽原、欅平方面は他の資料をご覧ください。
真砂沢野営場の北東隅から登山道が剱沢左岸の下流方向へ出ています。しばらく下っていくと登山道は三の沢に突き当たり、沢を横断して剱沢二股方面へ延びています。
三の沢出合は登山道上に毎年遅くまで雪渓が残る場所です。三の沢雪渓も他の雪渓同様、季節が進むにつれて厚さを減じ、そのうち主に中央部が崩落し、やがて全体に融解が進んで沢が露出していきます。そのため、雪渓の状況に応じて異なるルートを通行することになります。
雪渓が安定している場合は、雪渓を横断し、剱沢本谷左岸の登山道に乗っていきます。下図の左岸ルートです。踏み抜きに注意し、雪渓が薄いと思われる所には近づかないようにして下さい。
三の沢雪渓が不安定で左岸ルートの通過が危険な場合は、三の沢手前(下図C分岐付近)で剱沢本谷の雪渓上を左岸から右岸に横断し、右岸を巻いてハシゴ谷橋から左岸へ戻る場合もあります。下図の右岸ルートです。
剱沢左岸寄りの三の沢雪渓が崩落した後は安定を待ち、露出した沢の中にルートをとります。下図の枠内、三の沢を横断するルートになります。ただ、大雨の時は増水で通行不能になることもありますので、注意して下さい。
下図右岸ルートも剱沢本流にかかる雪渓が融解、崩落してくれば通行不能になる場合もありますので、雪の少ない年やシーズン後半は注意して下さい。
雪渓の状況は年により日により変化しますので、詳しくは小屋へお問合せ下さい。
キャンプ場の角から剱沢左岸沿いの登山道へ
小屋でルート状況の確認を!
十分に雪のある状態での三の沢の通過。(2018年8月5日)
三の沢雪渓。十分に雪のある状態。剱沢本谷下流側から(2017年7月30日)
中央部に穴が開き、崩落寸前の三の沢雪渓。剱沢右岸から(2017年9月5日)
三の沢雪渓 中央部が崩落し、融けた状態。(2017年9月13日)
崩落後、安定したら沢の中にルートをとる
三の沢を渡れば再び剱沢左岸の登山道へ
増水した三の沢。水量が多く、渡渉不能。(2019年10月4日)
完全に崩落した三の沢出合、剱沢本流にかかる雪渓。
上図右岸ルートは通行不能。(2019年9月29日)
しばらく剱沢左岸の登山道をたどります。早い時期にはあちらこちらに雪渓が残りますので、崩壊や踏み抜きに注意して下さい。四の沢付近にも大きな雪渓が残ることがあります。
ハシゴ谷橋分岐(剱沢左岸、上図B分岐)
ハシゴ谷橋
四の沢付近に残った雪渓。(2019年7月17日)
剱沢の清流に沿って道は二股へ続きます。
川沿いの道を進んでいくとやがて川際が切り立った場所が続くようになります。ハシゴや鎖、桟道が架かっていますので、慎重に通過します。四の沢あたりからこの付近まででも、大雨時は増水で通行できないことがありますので、天候判断は無理をせず慎重に。
川沿いの道をたどる
川際の鎖場、桟道を渡る
いくつか鎖場やハシゴ、桟道を越えていくと、やがて広い川原に出ます。目印やケルンに沿って進んでいくと、剱沢二股に至ります。
営業期間終了後間もなく、二股の吊り橋は撤去されます。平水時は渡渉ができることが多いですが、雨で増水した場合は渡ることができません。どうかご注意下さい。
川際のハシゴ場を行く
剱沢二股の吊り橋
二股まで来ると左手に三の窓氷河が姿を現します。
二股から見上げる三の窓氷河
二股から登山道は川沿いの道から尾根道に変わり、仙人新道を登っていきます。仙人峠まで標高差は550mほど、樹林帯で夏場は暑さに耐えながらの登行になりますが、上部では次第に視界が開けてきます。途中からは八つ峰を背景に流れ下る、三の窓氷河の雄大な景観を望むことができます。
仙人新道から望む三の窓氷河、八つ峰の威容
仙人峠から道は池の平方面と仙人池・阿曽原方面に分かれます。阿曽原方面へ20分ほど木道を交えた道を下れば、仙人池ヒュッテに到着します。
仙人池から望む夕雲の剱岳
仙人池に姿を映す剱岳