登山道情報
立山室堂~剱沢~真砂沢ロッジ
各ルート詳細

■ 真砂沢ロッジ~仙人池~阿曽原・欅平

■ 真砂沢ロッジ~ハシゴ谷乗越~黒部ダム

立山室堂~剱沢~真砂沢ロッジ

室堂から真砂沢ロッジまでは標準で約6時間ほど、真砂沢ロッジから室堂までは7時間程度のコースです。別山乗越の峠を越え、日本三大雪渓の一つとされる剱沢雪渓を歩き、剱岳の大岩壁を間近に眺めながらのルートです。「岩と雪の殿堂」剱岳の雰囲気を最も体感できる好ルートといえましょう。

ただ、雪渓の状態には要注意。特に融雪が進む夏の後半以降は、雪渓の崩壊、クレバスの発達、滝の露出、雪渓の踏み抜きなどに十分ご注意下さい。事前に山小屋や山岳警備隊に最新情報を問い合わせるなど、十分な情報収集をすることをお勧めします。アイゼン(なるべく6本歯以上のしっかりしたもの)は必ずお持ち下さい。

【参考行動時間】

室堂-(1:00)-雷鳥平-(2:00)-別山乗越-(3:00)-真砂沢ロッジ

真砂沢ロッジ-(4:00~5:00)-別山乗越-(1:30)-雷鳥平-(1:30)-室堂

ルート概要

室堂から真砂沢ロッジへの入山の場合を例に見ていきましょう。

雷鳥沢キャンプ場からは雷鳥坂の急登、ジグザグの登山道を標高差約500メートル登っていきます。 時間の余裕のある方は新室堂乗越経由でも良いでしょう。 高山植物も豊富で立山川、室堂を両側に見下ろしながらの展望の良いコースです。 別山乗越まで登れば一気に眺望が開け、目の前に名峰、剱岳を望むことができます。 ここには剱御前小舎があり、宿泊も可能です。

雷鳥平を前に見上げる雷鳥坂、別山乗越

別山乗越直下、室堂側の登山道

10月、別山乗越からの剱岳

別山乗越からは剱沢右岸の登山道をトラバース気味に下っていきます。目の前にそびえる剱岳を眺めながらの展望の良い登山道です。梅雨明け前後には登山道上の岩場に残雪があることもあります。慎重に下降していきます。

途中剱沢のキャンプ場を抜け、管理棟の前を通って小一時間下れば剱沢小屋に達します。管理棟には富山県警山岳警備隊の剱沢警備派出所があり、シーズン中は隊員が常駐しておられます。

剱沢雪渓のルートは融雪の状況により変化しますが、雪渓の状態が悪い場合は一部では夏道を通る場合があります。夏道は長次郎出合から上は右岸、そこから下は左岸についています。

小屋の裏手を抜け、小屋の北東側から引き続き右岸を下っていきます。早い時期ですとすぐに雪渓に乗り、そのまま雪の上を行けるのですが、時期が下って雪渓が消えてくれば、しばらく右岸のトラバース道を下ります。

雪渓上端付近で雪の上に乗る位置は、雪の量や状態により変わってきます。雪渓上端付近は薄くなっている場合が多く、踏み抜きや崩落の危険性も高くなります。雪の上に乗る場所には特に注意して下さい。シーズン後期や雪の少ない年は、長次郎出合まで雪の上に乗らず、右岸の夏道通しになることもあります。山小屋や山岳警備隊でしっかり情報収集をすることをお勧めします。

別山乗越と剱御前小舎

剱沢源頭。右岸の登山道を通って剱沢へ。

剱沢小屋下から剱岳を望む。(2018年8月1日)

剱沢上部はお花も豊富。クロユリの滝付近。(2018年8月1日)

剱沢雪渓上端(2017年9月19日)

雪の量があり、雪渓がしっかりしている場合はそのまま雪渓上を下っていきます。 上部は広い気持ちの良い谷、鹿島槍ヶ岳など後立山連峰の山々も望むことができます。 さらに下っていくと、剱岳東面の岩壁群が圧倒的な迫力で目の前にそびえてきます。 「岩と雪の殿堂」剱岳の魅力を大変大きく感じることのできる場所です。 雪渓が安定していない場合は引き続き右岸の夏道を行きます。

武蔵谷出合付近から剱沢上部を見上げる。

正面奥は剱御前山三角点。(2018年8月1日)

広大な剱沢雪渓上部の登高 バックは源次郎尾根、八ツ峰(2021年8月5日)

剱沢右岸の夏道上から見上げる源次郎尾根I峰の岩壁。(2019年10月上旬)

武蔵谷出合~平蔵谷出合の右岸夏道。(2019年9月26日)

盛夏の平蔵谷出合。(2018年8月1日 雪渓上から)

画面中央左、剱沢左岸に見えるのが平蔵谷出合の目印になっている大岩。

平蔵谷出合まで下ると、出合の剱沢左岸に大きな岩があり、目印になっています。出合から見上げれば、平蔵谷が雪渓を抱えながら遥かに稜線まで続いています。

平蔵谷出合から平蔵谷、稜線を見上げる(8月上旬)

雪が極端に少なかった2016年9月末。平蔵谷の雪がほぼ消滅。

平蔵谷出合から長次郎谷出合まで下っていきます。 雪が多く雪渓が安定していれば、一部やや急な部分はありますが、快適な雪渓歩きが楽しめます。

雪渓が不安定な場合や崩壊している場合は右岸の夏道を行きます。 一部ガレ場や急なスラブ帯の岩場を通る部分があります。晩秋の冷え込んだ時などは、 スラブ帯の岩場が凍結して非常に危険な場合もあります。雪の量や状態によって通行できる場所が 違ってくることがありますので、雪の少ない時や秋の遅い時期に通過する場合は要注意。

平蔵谷出合から長次郎出合へ。(2017年8月末)

雪が十分にあり、安定した状態。

平蔵谷出合~長次郎谷出合間のスラブ帯の通過。(2019年9月中旬)

雪の少ない年は雪渓崩壊が進み、雪渓通しの通行が危険な状態になることがあります。

この場合、右岸のスラブ帯を通行します。

2020 平蔵谷出合~長次郎谷出合

2020年の右岸スラブ帯の状況です

2016年は極端に雪が少なく、晩秋にはこの付近の剱沢本谷も雪渓の崩壊が進みました。

長次郎谷出合からは、近代登山史上初の剱岳登頂ルートとなった長次郎雪渓と、その右側に八つ峰の岩壁を望むことができます。明治以来、多くの登山家達が通った雪渓です。

長次郎谷を左に眺めつつ、出合からさらに下っていきます。

長次郎出合から一ノ沢出合付近までは、雪が多く状態が安定していれば、雪渓通しの方が歩きやすいことも多いのですが、よく情報の収集をして下さい。 雪の少ない年や季節が下った時期など、一ノ沢付近では雪渓が薄くなり、雪渓通しでの通行が危険な場合が多くあります。

基本的には出合から左岸の夏道へ入っていきます。真砂沢ロッジへ水を引いている黒いホースが目印です。ホースに沿って行くと左岸の夏道へ入っていきます。

出合から長次郎谷、八つ峰側壁を見上げる。(2018年8月1日)

長次郎出合から剱沢上流を見上げる。雪も多く、安定した状態の雪渓。(2017年9月下旬)

長次郎谷出合では小屋に水を引く黒いホースを目印に、雪渓上を左岸へ渡る。

晩秋の長次郎谷出合を行く(10月)

夏道に入ったら、ペンキマークや石に巻かれたテープの目印に沿って夏道を下っていきます。ここから下は夏道はすべて左岸についています。一ノ沢付近の夏道を通る場合は、ガレ場の通過や浮石に注意し、慎重に行動して下さい。目印を見落とさないように注意。

雪渓の状態が良い年でも、シーズン初めの早い時期から剱沢本谷の長次郎出合から少し下ったところ、一ノ沢出合の下にあるナムの滝が露出し始める場合が多くなっています。この部分は本谷の雪渓通しの通行が非常に危険です。 長次郎谷出合から下っていくと、雪渓の幅が一番狭くなっている部分です。ナムの滝は左岸に夏道がありますので、必ずそちらを通行して下さい。

ナムの滝を上から見る(2017年8月上旬)

通れそうですが、薄くなっていて非常に危険です。左岸に見えている夏道へ入ります。

雪渓が消えて完全に露出したナムの滝(2017年8月末)

左岸(画像では右側)に見えている夏道を通ります。

雪渓は日々変化します。新しい情報の収集を。

ナムの滝を通過したら、小さなハシゴを下り、別山沢を右に見ながら、左岸を下っていきます。登山道が雪で埋まっている場合は左岸沿いの雪の上を下ります。中央寄りは雪渓が薄くなっていることが多いので要注意。別山沢出合の谷のカーブを曲がれば、小屋が見えてきます。

晩秋の別山沢と崩壊した剱沢本谷の雪渓。(2017年10月中旬)

別山沢出合。雪渓の場合も通行は左岸寄りを。(7月中旬)

小屋はもうすぐ。

inserted by FC2 system