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黒部川下の廊下最上部の深い峡谷沿いの道、内蔵助平の秘境感、ハシゴ谷乗越付近からの剱岳東面の迫力ある眺め、 と変化に富んだ好ルートです。ハシゴ谷乗越経由で黒部ダムへ抜けるコースは、真砂沢ロッジからダムまで 約7時間から7時間半、ダムから真砂沢ロッジの場合は約7時間半から8時間の歩行時間です。
ただ、内蔵助平付近は大雨増水時は登山道が川と化し、水位が腰上に達して通行できない場合があります。 また、夏の早い時期は、黒部ダムから内蔵助谷出合の間、丸山沢付近の雪渓が悪い状態で残り、通行できない場合があり要注意です。
途中山小屋なども無く、携帯電話も通じにくいエリアです。事前にしっかりと情報収集をして下さい。
【参考行動時間】
黒部ダム−(1:40)−内蔵助谷出合−(2:30)−内蔵助平−(1:50)−ハシゴ谷乗越−(1:40)−真砂沢ロッジ
真砂沢ロッジ−(2:00)−ハシゴ谷乗越−(1:20)−内蔵助平−(1:50)−内蔵助谷出合−(2:10)−黒部ダム
黒部ダムから真砂沢ロッジへの入山の場合を例に見ていきましょう。 (落葉、紅葉の時期の画像は10月中旬から下旬、小屋の営業終了後のものです。)
立山黒部アルペンルートの黒部ダム駅からの入山となります。 トロリーバスの降車口の奥からルートへ入っていきます。
出口から外へ出たら、しばらくは砂利の道をジグザグに進んでいきます。所々小さな表示がありますので、 見落とさないように。やがて砂利道から分岐し、登山道へ入っていきます。
急な樹林帯の登山道を下降していきます。
下りきると黒部川の川沿いに出、橋を渡って左岸へ。
ここからは黒部ダムの巨大な堤体を見上げることができます。
黒部川を横に見ながら、川沿いの道をたどります。
登山道はやがて川から高度をとり、急な岩肌につけられた高度感のある道になります。 下の廊下の最上部、黒部川の渓谷美を堪能できる区間です。
細い崖路をたどり、滝の下をくぐり、内蔵助谷出合を目指します。 要所には桟道が架けられ、よく整備されています。
内蔵助谷出合から北西に折れて内蔵助谷に入り、沢に沿って高度を上げていきます。しばらく樹林帯の道を登ると、 前方に丸山東壁が高く聳えたってきます。涸れ沢を通り、崩壊地を抜けて登っていきます。 途中丸山東壁の基部へ迷い込みやすい部分です。目印を見落とさないように、 ゆっくり慎重に。
崩壊地から少し行くと、ガラガラの涸れ沢の登行になります。 この付近からしばらくロープやハシゴを交えた、急な部分になります。
ロープ、ハシゴ、急なガレ場などが一部あり、浮石にも注意が必要ですが、 2017年秋の状況では慎重に行けば特に問題ありませんでした。しばらく進むと、登山道はやや傾斜を落とし、 いくつか細流を横切りながら樹林帯の小さなアップダウンを繰り返します。一度遠ざかっていた 内蔵助谷の水流が登山道のすぐ横を流れるようになれば、内蔵助平は間もなくです。
急流の脇を抜けていくと内蔵助平の平坦部に至り、眺望が開け、前方に立山の稜線を望むことができます。 樹林の中の道をたどり、いくつかの細流を横断します。普段は浅く、橋がかかっていないものが多く、 増水時は渡れないことがあり、要注意です。
やがてハシゴ谷乗越方面と内蔵助山荘方面の分岐に至ります。夏は背丈を大きく超えるイタドリや ネマガリダケが茂り、緑に囲まれた中を進みます。ブヨも多いので要注意。
分岐から5分ほど歩くと、道が涸れ沢に突き当たります。ここからは涸れ沢の中をペンキマークや テープの目印に従って進んでいきます。この涸れ沢は普段は水がありませんが、 大雨時には増水し、場所によっては水位が腰上に達することもあります。 山小屋や登山口から距離がある場所ですので、ここで増水につかまると大変です。気象情報に注意し、 降雨量が増える可能性のある場合はこのコースを避けて行動するようにして下さい。
涸れ沢は初めは灌木の中で比較的開けていますが、次第に両側がネマガリダケの藪に覆われていきます。 傾斜が急になり、しばらく登ると、涸れ沢の道から普通の登山道に変わります。 視界が開けてくると間もなくハシゴ谷乗越です。
ハシゴ谷乗越に荷物を置き、少し黒部別山側に登ると展望の良い高台があります。内蔵助平越しに針の木岳、 赤沢岳、鳴沢岳などの連なり、その右手には立山の稜線、振り返れば仙人山や遠く白馬岳も望むことができます。
乗越から剱沢側へ下っていきます。少し下ると北西の展望も開ける場所があり、 剱岳東面の威容を眼前に仰ぐことができます。剱岳の展望が開けるのは、こことこの先の下りのゴーロの2か所です。
さらに下っていくと樹林の中の細い尾根と数か所のハシゴを通過します。 西側は急斜面になって切れ落ちているので慎重に。
ハシゴをすべて過ぎると、登山道は西側の樹林の中の斜面へ入っていきます。上部は少し急でロープを固定して ある所もあります。樹林帯を1,870m付近まで下ると道がゴーロを横断しています。ここも剱岳の展望の良い場所です。
ゴーロをトラバース気味に下り、さらに樹林帯を下っていきます。途中から細い流れが道に合流し、 少しですが常に道を水が流れています。やがて下図右岸ルートと、ハシゴ谷橋を渡る左岸ルートの 分岐(図のA分岐)に至ります。どちらも剱沢を対岸へ渡るためのルートですが、どちらを通るかは三の沢雪渓の 状態により異なります。現地に標識や目印がありますので、それに沿って通過して下さい。 三の沢出合には例年遅くまで雪渓が残ります。
主に図の左岸ルートを利用する場合が多くなります。
左岸ルートの場合はA分岐を直進し、涸れ沢の中を下っていきます。下りきったらテープの目印に沿って 一度下流側へ下り、川原を橋まで歩き、対岸へ渡ります。橋を渡ってから、 B分岐を上流側に向かい、川沿いの登山道を小屋に向けてたどります。
三の沢雪渓も他の雪渓同様、季節が進むにつれて厚さを減じ、そのうち主に中央部が崩落します。崩落後は安定を 待ち、露出した沢の中にルートをとります(上図の下側枠内)。ただ、大雨の時は増水で三の沢が通行不能になること もありますので、注意して下さい。目印に沿って行くと、沢や雪渓を抜け、小屋へ続く登山道に乗っていきます。
図の右岸ルートは、ハシゴ谷橋が架かっていない時期や、 左岸ルートの三の沢雪渓が崩壊などで通行できない時に利用することが多い道です。
この場合は図のA分岐を西へ直角に曲がり、右岸の樹林の中を巻いて雪渓に出ます。雪渓に下りるところは急な 斜面になっており、慎重に。雪渓に下りたら、そのまま雪渓を対岸、C分岐の方向に横断します。踏み抜きに注意し、 雪渓が薄いと思われる部分には近づかないようにして下さい。雪渓横断後西(上流側)へ向かい、 登山道へ入っていきます。
右岸ルートも剱沢本流にかかる雪渓が融解、崩落してくれば通行不能になる場合もありますので、 雪の少ない年やシーズン後半は注意して下さい。
雪渓の状況は年により日により変化しますので、詳しくはお問合せ下さい。
営業期間終了後間もなく、ハシゴ谷橋は撤去されます。 増水時は渡ることができません。ハシゴ谷橋周辺の剱沢は水量が多く、平水時も渡渉は困難、 撤去後は黒部ダム方面との行き来が非常に困難になります。どうかご注意ください。